ACT002-レセプター"Y"

膵臓がんに立ち向かう新しいアプローチ

私たちが現在注目している研究のひとつが、「膵臓がん」の新しい治療法の開発です。膵臓がんは治療が非常に難しいがんの一つで、早期発見が難しく、発見時にはすでに進行していることが多いため、生存率が非常に低いことで知られています。

がん幹細胞とレセプター"Y"の発見

当社の研究チームは、がんの中でも再発や転移の原因となる「がん幹細胞」に着目しました。特に膵臓がん細胞に特異的に発現する「レセプターY（仮称）」を発見しました。このYレセプターは、通常の正常細胞には存在せず、がん幹細胞のみに見られる特徴的なマーカーです。

さらに、マウスの体内からこのYレセプターを持つ細胞だけを除去したところ、膵がんそのものが完全に消失し、再発も確認されませんでした。この成果は、がん幹細胞を標的とすることで、がんを根本から治療できる可能性を示しています。

光免疫療法との組み合わせによる治療戦略

私たちはこの基礎研究に基づき、Yに対する抗体を開発しています。さらに、これを用いた「光免疫療法」を組み合わせることで、膵がんに対する効果的な治療法の確立を目指しています。

光免疫療法とは、がん細胞に結合する抗体に光反応性の成分を結合させ、体の外から特定の波長の光を照射することで、がん細胞だけを破壊する治療法です。正常な細胞には影響を与えず、副作用の少ない治療が可能とされています。

今後の展望

現在、このプロジェクトは前臨床段階にあり、今後は抗体の最適化、安全性試験、そして臨床試験（治験）へと進んでいく予定です。治療が難しいとされてきた膵臓がんに対して、根本治療を目指すこのアプローチは、革新的かつ大きな市場価値を持つと私たちは考えています。